反動〜reaction〜

 昨日いろいろありすぎて、今日という日が空っぽだった。マリと同じ部屋だった、仕事中は近くにいたかもしれない。帰り道も一緒だった。いつもと変わらない。それなのに俺はそれを良しとしなかった。近づきすぎて、いつもの距離すら疎遠に感じる。寂しく思う。自分という人間の女々しさに気づかされた。
 マリもそれは感じ取っていたみたいで、いつもと違う俺に違和感を感じていたみたい。違和感と言うか、不快感だったかもしれない。少し怒っていた。マリの話を聞いていても凄く生返事で、上の空な感じ。
 今まで毎日一歩ずつ近づいてきた二人が、これ以上無いくらい近い距離になってしまう。するとそれが一番記憶に残り、次の日からそのことばかり思い出すようになる。俺とマリの関係はこれ以上進展しない、してはいけない関係だから(俺が思ってるだけかもしれないけど)これ以上幸せにはならないと思ってしまっている。幸せだった日を考えるようになったとき、二人の気持ちはバラバラになってしまうんじゃないかと思うと凄く怖い。
 持論だけど、男の思いと女の思いは溜まり方出し方がまったく違う。男はある程度我慢しながら、思いが溢れそうになったときに全部出してしまう。全部出した後、また思いを一から溜めるんだと思う。だから男の感情には波があるし飽きも早い。もう一度一から溜めようと思えるほど好きになる事がそうそう無いのだろう。女は少しずつ放出し、長く思いを続ける。ずっと好きでい続けているから、そうでない男を許せないときもあると思う。自分はこんなに思い続けているのに…。そんな感じだろうなぁって。
 たとえは悪いけど、全部出し切ったとき凄いむなしさが心臓を襲うときがある。ここにマリがいない。マリのぬくもりが無い。存在が遠くにある。それが辛い。わがままです。
 メールでマリに謝った。少しだけ怒ってたみたい。こんな俺を好きでいてくれるマリだから、俺も自分を隠さずにいたい。自分の感情の起伏を素直に伝えた。最後はいつもの二人に戻ったと思うけど、これからもきっとこんな思いはたくさんするだろうな。いや、自分が辛いだけならいい。マリが辛い思いをするのが一番辛い。恋…かなぁ?
 明日はマリと一緒に出勤。寝て起きて、それから会えばきっといつもの二人に戻ってる。そうであって欲しい。寝よう。何も考えずに

 いつか俺の心のダムは決壊すると思う。いつまでも振り続ける愛のせいで。