直接的な言い方はできないので

エリカがたとえてあげる。
 私が教習かよい始めの教習生なら、彼女はそこの教習所の教官。
 私はもちろん免許もなくて、車も乗ったことがないから車のこともよく知らなくて、だからまずは本を読んで学ぶの。で、知識もそこそこ机上の空論も描けるようになったら実車するの。でももちろん教官がいないと乗れなくて、ハンドルの握り方から細かく学ぶの。「そんなのわかってるよ」って自分ではわかってるつもりだから最初はとっても鬱陶しくて、でも次第に気づくの。「教官がいないと私は怖くて運転できない」って。でも、ある程度慣れてきて、そして図に乗り始めるの。「一人で何でもできるよ。監視されてなくても平気だよ」って。所内の教習を終えて、私は仮免許をもらう
 そうしたころ、私は路上に出るの。もちろんまだ教官は一緒。初めて路上に出た私は戸惑うわ。いろんな景色が目に入る。障害物も多い。こちらを認識してくれる、教習生や教官がうろついてるわけじゃない。外を歩いているのは子供から老人までいっぱい。戸惑い、混乱する。行き先は教官が決めてくれるけど、行き方がわからない。周りを見ることなんてとてもできなくて、恐々と、ゆっくり進む。でも、不意に人が自分の前に立ちはだかったとき、私はどうしていいかわからない。そのまま進んで、その人を傷つける。でもそれをさせないために教官がいるの。補助ブレーキという優しさで、私を止めて、戒めてくれる。教官も大人だからある程度予測しているけど、それでも驚くの。でも、そうすることで人を傷つけずにすむわ。
 私はまだ路上に出たての教習生。彼女は私が事故を起こさないように、誰も傷つけないように私を見守ってくれる教官。彼女の補助ブレーキが私にはまだ必要。彼女の目も、私の代わりに広い視野を持って周りを見てくれる。
 免許はまだ取れていない。今は路上での問題が多すぎて、また所内に逆戻り。でも、免許取得のためにはまた路上に出ないといけない。そうするために、私はまた彼女に頼って彼女に教えを請う。図に乗っていた自分を改めてもらうために。
 私は路上で、飛び出してくるもののことを考えず、スピードを出しすぎていた。だから止まれなかった。そのとき私は彼女を乗せていなかった。彼女には内緒だったの。その結果一人の少女を傷つけてしまい。私には罰が下ったわ。彼女は私の裏切りを知ってひどく落胆していたみたい。私は今罰を受けている最中。彼女は私を今後どうすればいいか考えているみたい。すぐに教習復帰させるのは難しくて、でも彼女は私に免許を取ってもらいたいという。たとえ助手席で見守るのが私でなくてもと。
 いま、私は反省中。免許を取りたい人は、驕らず、謙虚に、誠実に、周りにとって安全な、教官にとって安心な運転を心がけないといけないのよ。わかったかしら?