ケジメ

 いつかこうなるだろうとは思ってた。そしてこうしなければならないとも思っていた。今の半端なままの気持ちや状況で関係が続いても、結局どちらも本当の幸せにはありつけないと思う。もしこれから先に幸せが落ちていても拾い損ねると思う。考えて考えて、普通の友達であるべきだという結論に至った。今までいろんなことがあって、付き合っても無い二人がするべきじゃないこともあった。俺が我慢できずにそうなってしまったこともあった。そんなことがあったのに、今更こんな結論を一人で出してしまう俺は凄く身勝手だと思う。
 電話でマリにそのことを告げた。本当なら会って言うべきだったかもしれない。泣いてた。声が震えていて、その声を聞く事がたまらなく辛かった。でもきっと、このままズルズル行ってたらこの先もっと辛い事があったと思う。そう自分に言い聞かせて、マリに今の自分の気持ちを全て話した。好きな気持ちは今まで本物だったし、これからも変わらない。何を言っても言い訳を言ってるように自分で感じた。と言うか言い訳だったと思う。本当は、浮気という言葉から逃げただけ。臆病な気持ちが急にわいてきて、怖くなっただけだ。
 もし本当にエッチしていたら、この感情は留まることなく膨らんでいただろう。ただただ恐怖だけが膨らみ、秘密にしなければいけないという状況に耐えられなくなり、しかし離れられない関係になってしまっただろう。そうなってしまう前に止めなければならなかった。今日のことで、マリは俺の身勝手さを感じただろう。俺のことを嫌いになったと思う。それで良い。良いわけない…。辛い。少し後悔もしてる。でも言ってよかったとも思ってる。自分でもわからない。自分の気持ちがわからない。これからどうなるかもわからない。マリは「正直に言ってくれてよかった。そういうところも好き」って言ってくれた。今までは「マリが自分を好きでいてくれる」という状況に甘えていたけどこれからは違う。
 「好かれてるから好きになる」ではなく本当に自分から誰かを好きになる努力をしようと思う。そして、自分自身を好きになれるように…。