糸色望

 22年という月日を一人身で過ごして、残りの余生を一人の人と過ごす。一つの幸せしか知らないことはこれ以上ない幸せだという人もいますが、多くの幸せを望み想って22年過ごした人間にとってはあてはまらない。今の自分が恵まれてないとも思わないし、違う形を手に入れたいと思うわけでもない。しかし今以上の幸せを想像してしまう。
 向上心のないハングリー精神。矛盾するけどそんな感じの言葉が今の自分には当てはまる気がする。自分から好きになったのならこうはならなかったと思うが、好きになられて好きになるという悪い流れを断ち切れず…心を縛られ、身体を縛られ、それでも本能はあるべき姿を保ちつづけて一人歩き。テレビで、雑誌で、街で、バイトで、自分の理想に近い形を見つけては一喜一憂して胸を焦がす。もはや自分に希望はない。多くのアイドルに恋焦がれ、決して一人に絞る事のできなかった俺が、一人の女しか知らずに死んでいくんだと思うと。笑える。
今、とても苦しい。22年女を知らなかった体が女を知り、より多くの女を知りたいともがいている。
俺の中のモンスターは今、成長をはじめている